
学校では教えてくれない
人間社会を生き抜くための人生の基礎知識
New 2025.4.20 対人関係 公開
生き辛い社会だと感じたら
対人関係

学校では教えてくれない
人間社会を生き抜くための人生の基礎知識
12番目は「対人関係」についてです。
世の中にはみんなと一緒が良いと思う人もいればみんなとは違っていたいと思う人もいます。
割合としては前者の方が多いのかもしれませんね。
どちらの場合だとしても仲間と上手く付き合っていくことに多少のストレスを感じているのではないでしょうか。
みんなと一緒が良いと思う人はどうしたらみんなから仲間外れにされないだろうかとストレスを感じ
みんなとは違っていたいと思う人は仲間から特異な目で見られることにストレスを感じることがあるかもしれません。
どちらの場合にしても自分らしく社会を生きるていくためには対人関係に多少のストレスがつきものだと言えるでしょう。


対人関係のストレスが限界を超えて生きづらいと感じるようになってしまったら応急処置が必要になってきます。
あなたの心がSOSを発信しているのです。
どうしたらみんなから仲間外れにされないかで感じるストレスが限界を超える場合も
仲間から特異な目で見られることで感じるストレスが限界を超える場合も
いずれの場合もあなたの自己主張が封印されて行き場を失って爆発寸前になっているのです。
こんな時にはいったん仲間から離れ 一人で自分らしさを思う存分出し切ってみることをお勧めします。
でも安心してください。いったんみんなから離れ一人で自分らしさを思う存分出し切ってみることというのは応急処置にすぎません。
恒久対策はこの後でじっくりお話いたします。


人間は平等であると社会科で教えられましたが 世の中の対人関係はそうなっていないことのほうが多いのが現実です。
大半の対人関係は 対等ではなくて主と従の関係になっています。
先生と生徒 先輩と後輩 上司と部下 顧客と店など さまざまな場面でこの関係が見られます。
仲間同士の間でさえ 主従の関係が存在し得ます。
大半の人間関係は 強い者が主となり それに従う者が存在する形で成り立っているのです。
ですからみんなと一緒が良いと思う人も みんなとは違っていたいと思う人も 仲間という対人関係を形成する以上は大なり小なり主従関係を結ばなくてはならず ここにストレスの原因が発生するのです。
みんなと一緒が良いと思っているあなたがストレスを感じる場合には あなたはただ仲間と仲良くなれるようにという思いで振舞っているのに 仲間は自分が主 であなたが従の関係に立とうとしていて 嘲笑し 揶揄し 小馬鹿にし 強要される ということなのだと想像できます。
みんなとは違っていたいと思っているあなたがストレスを感じる場合には あなたはただ仲間のメンバーから認められたいと思っているだけなのに 仲間はあなたが自分たちに合わせようとせず個性的に振舞って協調性が無く生意気だと思っている ということなのだと想像できます。
人生は主導権争いの連続で あなたが好むと好まざるとにかかわらず社会の至る所で主従確定のための攻防戦に巻き込まれうんざりしてしまいます。


主と従の関係の極端な例としては 宗主国と植民地や主人と奴隷の関係があります。
(人には当てはまりませんが)さらに極端な例として 生き物には弱肉強食 つまり食べる者と食べられる者という関係があります。
ライオンは鹿の気持ちを考えて食べることはありません。
マグロもイワシをかわいそうだと思うことはないでしょう。
だからこそ 平気で食べることができるのです。
泳いでいる魚を日本人は「美味しそう」と思い 欧米人は「かわいい」と思う。
牛を見ると日本人は「かわいい」と思い 欧米人は「美味しそう」と思う。
という話を聞いたことがあります。
同様に 主人は奴隷の気持ちを考えず 宗主国は植民地の痛みを感じることはないでしょう。
「人を食い物にする」という言葉の通り 豊かな人間性はどこかへ消えてしまい 平気で搾取できてしまうのは実に不思議なことです。
主と従の関係も同じです。
強い者が弱い者に対して対等な関係で接することは非常に稀であり 平気で嘲笑し 揶揄し 小馬鹿にし 強要します。 この事によって従の立場の者が主の立場の者に対して「ハラスメント」を感じてしまうわけです。
どうやら人間は本能的に主が従の気持ちを感じ取りにくくできているようです。
「自分の痛みは3分も我慢できないが 人の痛みは3ヶ月でも放っておける」と言われる所以です。
ひょっとしたら食事をしているのと同じように感じてしまっているのかもしれません。
主導権を握っている間は人間性が一時的にどこかへ消えてしまうようなのです。


人間は対人関係において このように主と従を基本とすることを長く続けてきました。
昭和の世代では 親と子の間には主従に似た関係がありました。
そのため 成人して社会に出ても、主従関係に戸惑うことは少なかったのです。
家庭で主従関係の練習ができていたとも言えるでしょう。
最近の親子関係では これが変わって来つつあります。
親の愛情がより強くなり 子どもの主張が頭ごなしに否定されるのではなく 親がしっかりと受け止めるように変わってきています。
こうして育った子どもたちが社会に出ると 家庭で経験したことのない「主と従」という環境に戸惑い ストレスを感じるようになります。
今の若者は昔の若者に比べて耐性がなくなったと嘆く声を 最近よく耳にするようになりました。
では昭和世代に戻って家庭で主従関係の練習するように戻したした方が良いのでしょうか?
いや 親子関係も含めて 平等で愛のある対人関係のほうがより良いことは間違いありません。
親子関係を昭和世代に戻すのではなく 社会の対人関係が主従関係中心である事の方を変えるべきなのです。


日本人はその他の国と比べて自分が主導権を握るよりも集団の中でリーダーに従ってうまく自分の役割を果たそうとする傾向が強く見られます。
主導権を握りたいと思っている人とリーダーに従って行こうと思っている人ではリーダーに従って行こうと思っている人のほうが多数派なのではないでしょうか?
日本人が特別このような特徴を持つようになった原因は何でしょうか?
日本人が集団の調和を重視し リーダーに従う傾向が強い理由には 歴史的・文化的な背景が深く関係しています。主な要因をいくつか挙げてみます:
1. 歴史的な社会構造
日本社会は長らく封建制度や村社会の影響を受けてきました。
特に江戸時代の「士農工商」の身分制度や 武士の主従関係が社会の基本構造として存在していたため 縦社会が根付いていきました。
また 農村社会では 共同作業が必要不可欠であり 和を乱さないことが重要視されていました。
この名残が現代にも影響を与えています。
2. 集団主義的な価値観
西洋文化が個人主義を重視するのに対し 日本では「和」を尊ぶ価値観が強調されてきました。
例えば「出る杭は打たれる」ということわざのように 周囲との調和を乱さないことが推奨されます。
これは学校教育や職場の環境にも反映され 個々の決断よりも全体の一致を重んじる傾向につながっています。
3. 教育の影響
日本の教育は協調性や規律を重視し 集団行動を基本としています。
例えば 学校生活ではクラス単位で行動することが多く 規律正しい行動が評価される傾向があります。
これにより 個人の意思よりも組織のルールや調和を優先する姿勢が育まれます。
4. 企業文化
日本の企業文化もまた 年功序列や終身雇用が長く続いたことで 上司や組織の方針に従うことが一般的となりました。
これにより 個人の判断よりもチームとしての統率が重要視され リーダーに従うことが自然な流れとなったのです。
5. 言語の影響
日本語には敬語など 相手との上下関係を意識する表現が多くあります。
これにより 自然と「従うこと」や「上下関係を尊重すること」がコミュニケーションの中に組み込まれています。
特にビジネスや公的な場面では 謙虚な態度が推奨され リーダーに従うことがスムーズな人間関係につながると考えられています。
これらの要因が組み合わさることで 日本人の「集団の調和を重んじる」対人関係の傾向が形成されてきました。


これらの歴史的背景に加え リーダーが組織や集団を円滑に運営するためにこうした価値観を積極的に教育・啓蒙してきたことは 日本社会の対人関係の特徴を形作る重要な要素です。
歴史を振り返ると 江戸時代の「儒教教育」では忠義や上下関係の尊重が強調されました。
戦後の教育改革においても 協調性や集団行動の重要性が教えられてきましたし 企業文化では従業員研修を通じて「組織の一員としての振る舞い」が推奨される傾向があります。
これらが長年積み重ねられることで 個人よりも集団を優先する姿勢が深く根付いたと考えられます。
また 社会全体がこの価値観を維持することで 安定した組織運営が可能になり 秩序が守られるというメリットもあります。
一方で 個人の主体性や多様性を伸ばす観点からは課題もあります。
近年では「心理的安全性」や「フラットな組織構造」の重要性が議論されるようになり 従来の対人関係の価値観に変化が生まれつつあります。


日本で歴史的に続いてきた主従関係を基本とした対人関係のどんなところに問題が有るのでしょうか。
1. 創造性と自主性の低下
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指示に従うことが優先され 個々のアイデアや創造性が抑制されがちです。
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自主的に行動する文化が育ちにくく 受動的な姿勢が定着することがあります。
2. 柔軟性の欠如
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上位者の決定に強く依存するため 変化に適応するスピードが遅くなります。
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環境の変化に対する対応が硬直化し 競争力が低下する可能性があります。
3. モチベーションの低下
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一方的な指示に基づく環境では 部下の主体性が損なわれやすく モチベーションが下がることがあります。
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長期的に見ると 生産性や組織の活力に悪影響を及ぼす可能性があります。
4. 人間関係の悪化
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上下関係が強調されることで 支配的な関係が生じ 信頼関係が構築しづらくなります。
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コミュニケーションが一方通行になりやすく 心理的安全性が低下することがあります。
5. 多様性の活用不足
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価値観や視点が上層部に偏るため 多様性を活かした意思決定が難しくなります。
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組織の発展に不可欠な異なるバックグラウンドや経験を持つ人々の力を十分に活かせない可能性があります。
冒頭でお話しした
みんなと一緒が良いと思う人はどうしたらみんなから仲間外れにされないかとストレスを感じ
みんなとは違っていたいと思う人は仲間から特異な目で見られることにストレスを感じる
いずれの場合にも 3.モチベーションの低下と 4. 人間関係の悪化という形でストレスが表れてきているわけです。
また 主導権を握っているリーダーにとっても 1. 創造性と自主性の低下 2. 柔軟性の欠如 5. 多様性の活用不足という形で集団の成果を最大化できないというデメリットを生む要因となっているのです。
人間社会の閉塞感を打開するためにはこれらのデメリットを克服していかなければなりません。
対話を重視し協力と相互尊重を基盤とした対人関係の文化を築くことが重要なのです。


協力と相互尊重を基盤とした対人関係を構築するためには鹿やイワシ(食べられる側:従)もライオンやマグロ(食べる側:主)に対してコミュニケーションを取っていく必要があります。
この対話のノウハウについては
学校では教えてくれない人間社会を生き抜くための人生の基礎知識 二つ目の
リンク先→ 「コミュニケーションの基本」
に詳細に書かれていますので もう一度読み返してみて手法をマスターしてください。
これが恒久対策になります。
冒頭でお話しした
みんなと一緒が良いと思う人はどうしたらみんなから仲間外れにされないかとストレスを感じ
みんなとは違っていたいと思う人は仲間から特異な目で見られることにストレスを感じる
いずれの場合にもこのノウハウをマスターすれば 恒久対策として良好な対人関係を築くことに役立つはずです。
もし「コミュニケーションの基本」の手法をもってしてもストレスが解消されない場合には 手法をうまく使えていないか もしくは 仲間たちが主導権を握ってあなたから搾取しようという思いが強すぎるかのどちらかです。
仮に後者の場合にはその仲間たちからは静かに立ち去るほうが賢明であると言えるでしょう。
学校では教えてくれない人間社会を生き抜くための基礎知識12番目の「対人関係」についてお話してきました。
仲間と上手く付き合っていくことにストレスを感じそれが限界を超えて生きづらいと感じるようになってしまったら 応急処置としてあなたを思う存分出せる場所にいったん逃げましょう。
恒久対策としては「コミュニケーションの基本」の手法を体得しそれを実践してみてください。
それでも対人関係がうまくいかず 仲間たちが主導権を握ってあなたから搾取しようという思いが強すぎるのだと悟ったら その仲間たちから静かに立ち去り新しい仲間を見つけましょう。
そうすることによって今よりももっともっと楽に生きられるようになっていただきたいと願っています。