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学校では教えてくれない
人間社会を生き抜くための人生の基礎知識
New 2025.4.20 行き辛い社会の正体 公開
仕事が嫌になってしまったら
労働と会社組織の成立ち

学校では教えてくれない
人間社会を生き抜くための人生の基礎知識
五つ目は「労働と会社組織の成立ち」です。
仕事が嫌になると言っても経営者と従業員では嫌になる内容が異なっています。
今回は従業員の立場の方の悩みを解決することにいたします。
(経営者や個人事業主の方のお悩みは経営コンサルタントにお問い合わせください。)
仕事が嫌になる理由の例
(従業員の方が)次にあげる理由から仕事が嫌になることはよくある事です。
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業務の完了までに決められた期間が短い
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人数が足りずやってもやっても仕事が終わらない
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ちょっとしたミスに対して繰り返し叱責を受ける
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忙しいときに大して価値のない理不尽な仕事を言いつけられる
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毎日苦しい思いをしても給料が上がらない


これらの嫌なことがあると不満は大抵上司に向けられます。
面と向かっては言えませんから上司がいない同僚との会話ではついつい上司の悪口が出てしまいがちですよね。
「ねえ、聞いてよ。うちの上司ったら酷いのよ。期限が決められた難題を押し付けてくるの。その割に仕事の量に対して部署の人数が足りないからやってもやっても仕事が終わんなくてさ。そのくせちょっとしたミスに対して繰り返し繰り返ししつこく注意してくるの。こないだは部長のご機嫌取りのために何の価値もない仕事を言いつけられたわ。こんなに頑張ってるのにいい評価付けてくんないし給料が全然上がらないのよねー。もう、嫌になっちゃうわ。」同期の飲み会なんかではよく聞く話です。
理不尽な上司もかつては一般社員だった
理不尽なことばかり言う上司も入社当初は上司だったわけではなく一般社員だったわけですから当時は当然自分の上司に同じような不満を持っていたはずです。
ではなぜ上司になると自分が一般社員だった時の思いをすっかり忘れ理不尽になって部下に無理難題を押し付けるようになってしまうのでしょうね。


ところで会社は社員にお金(お給料)を払ってくれます。
ではあなたがお金を払うのどんな時でしょうか?
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レストランで食事をしたとき
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買い物をしたとき
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家電製品の設置工事をしてもらったとき
こんな時にお金を支払いますよね。
レストランやお店にとってあなたはお客さんです。
上司と部下の関係をお金の流れで考える
これと同じことが上司部下の関係にも言えるのです。
上司(経営者)はお金を払ってくれる側の人ですからお客様で
あなたはお金を貰う側の人ですから労働という名のサービスを売っている事業者なのです。
昔お金を貰う立場で事業主だったはずの一般社員が上司になるとお金を払う側のお客様に変わってしまうわけです。
(昔は飲み会で皆と一緒に上司の悪口を言っていた人が上司の立場になって悪口を言われる側に回ってしまっていることに気づいている人は少ないかもしれません。)


お客様としての当然の権利
あなたがお客様として美容院に行った際にカットの出来上がりが悪かったら美容師に注文を付けませんか?
ホテルの部屋がたばこ臭かったらフロントに「部屋を変えてくれ!」と文句を言いますよね。
請求された料金が前回よりも値上げされていたらどうでしょう。
注文した料理が出てくるのに30分も待たされたらあなたは黙っていられますか?
「お客様は神様です」
昭和の時代のエンターテナーがこう言っていましたが法律に反した行為をしない限りにおいてお客様は守られており事業者の立場のほうが弱いのが一般常識です。


振り返ってみましょう。冒頭に次のようなお話をいたしました。
(従業員の方が)こんな理由から仕事が嫌になることはよくある事ですよね?
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業務の完了までに決められた期間が短い
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人数が足りずやってもやっても仕事が終わらない
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ちょっとしたミスに対して繰り返し叱責を受ける
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忙しいときに大して価値のない理不尽な仕事を言いつけられる
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毎日苦しい思いをしても給料が上がらない
元々あなたが会社の社員で上司との間の関係に基づいた事柄でしたが
例えばあなたがホテルの従業員だった場合にもこの文章はそのまま当てはまるのではないでしょうか、、、?


サービスの質と対価の関係
上司と部下の関係をホテルの例に例えるならば 上司は「お客様」であり 部下は「ホテルマン」です。
ホテルマンが心を込めてサービスを提供することでお客様は満足し その対価として宿泊料を支払います。
つまり提供されるサービスの質が期待値に達しなければ お客様がクレームを入れるのは当然のことです。
これは理不尽ではなく サービス業のプロフェッショナルとしての本質とも言えるでしょう。
一般的には「上司は部下の面倒を見る存在」と考えがちですが 経済の原則に基づけばその関係はむしろ逆です。
実際には 部下が上司を支える立場にあり 上司はその対価として給与を支払います。
この構造を理解できていないことが 上司と部下の関係の誤解を生む要因のひとつとなっているのです。


会社組織はもう少しだけ説明が必要です。
上司もまたプレッシャーを受けている
上司にも上司がいるのです。
そして上司の上司にもまたその上司にもさらにその上の上司にも上司がいることでしょう。
あなたの上司は最下層の下請け業者にすぎず本当のお客様はかなり離れたところにいるようです。
ですからあなたの上司もお客様からクレームをいただいていて相当追い込まれている事でしょう。
人間は追い込まれると余裕がなくなってプレッシャーとストレスを感じ平常心ではいられなくなってしまうもの。
普段は人間味があって優しい性格の上司だったとしても追い込まれたときはついついあなたにきつい一言を浴びせかけてしまうのです。


業務遂行能力よりも重要なこと
上司が理不尽なことを言う理由がわかってきました。
では会社における自分の処遇を改善するためにあなたはどう立ち振る舞えばよいのでしょうか?
それはお客様に満足をしていただけるサービスを提供することに他なりません。
ホテルマンであれば
お客様に滞在期間中快適な環境を提供する
お客様が困ったことがあればそれを解決して差し上げる
お客様が喜ぶような物やサービスを迅速に提供して差し上げる
同じように会社であれば
上司が快適に業務が遂行できる環境を提供する
上司が困ったことがあればそれを解決して差し上げる
上司がが喜ぶような結果を迅速に提供して差し上げる
ということなのです。
業務遂行能力はサラリーマンにとってとても重要ですがあなたに一番求められることは上司の満足を勝ち取る事。上司をお客様と思えるかどうかが鍵だと言っても過言ではありません。
あなたは上司に対して心から奉仕することが出来ているでしょうか?
労働者としての現実を受け入れるか?
よく「あいつはゴマすりだけで出世した奴だ」と揶揄されますが
ゴマをするのではなく
上司の満足する仕事をする事
上司の満足する成果を出す事
これがあなたが会社組織の中でステップアップするために一番重要なことだということを理解して下さい。
もしあなたがそれをすることは嫌いでどうしてもできませんということならば
あなたは労働を売る従業員ではなく実際にモノやサービスを売る事業主を目指した方が賢明だといえるでしょう。
「そんな簡単に事業主になれるわけないでしょ!」とおっしゃるのであれば
労働を売る従業員になって上司の顧客満足を追求するほかはないのです。
それもできないよというのであれば薄給に甘んじるしかないでしょう。
「サラリーマンは気楽な稼業ときたもんだ。」
と昔の人は言いましたが世の中そんな甘いものではないようですね。


上司が理不尽なことばかり言う理由がはっきりしましたが
あなたの仕事をうまく進めるための重要な要素はもう一つあります。
もう一人のお客様
上司がお客様であることについてお話ししましたが実はあなたの仕事にはもう一人のお客様がいるのです。
上司というのは直接のお客様という訳ではなくいわば仕事の仲介人/請負業者にすぎません。
どこかから仕事を請け負ってきて部下のあなたに仲介しているに過ぎないのです。
仕事を請け負った先に本当のお客様がいらっしゃるのです。


営業の方であればお得意様がお客様ですからわかりやすいですね。
しかし間接部門の方は少しわかりにくいかもしれません。
でも間接部門でもその仕事には必ず上司以外にお客様が存在しているのです。
例えばあなたが人事部門の方であれば本当のお客様は会社の社員の皆様でしょうし購買部の方であれば購入を依頼した方でしょう。
あなたの仕事は片方のお客様である上司の満足を勝ち取るのと同時にもう片方の最終的なお客様の満足を勝ち取ることが出来ているでしょうか?
仕事がうまくいかない本当の理由
上司というのは管理職ですから最終的なお客様がどうすれば満足するかいちいち事細かに指示をしてはくれません。(ひょっとしたらそんなこと知らない人が上司をやっているかもしれません。)
上司の指示は仕事の納期と達成基準くらいの物でしょう。
それだけを満足させるだけでは最終的なお客様が満足するとは限らないのです。
人事の方はあなたが仕事をしたことで最終的なお客様である会社の社員はありがとうと言ってくれますか?
購買部の方はあなたが仕事をしたことで最終的なお客様である購入を依頼した方はありがとうと言ってくれるでしょうか?
ホテルの例でも見たようにお客様の要求は厳しいものです。
あなたの仕事の水準が最終的なお客様の要求を満足しているものより低ければお客様からクレームが入るので仕事がなかなか完了しません。
あなたの仕事がなかなかうまくいかない理由はここにあるのです。


顧客満足(Customer Satisfaction)CSの重要性
顧客満足(CS)という言葉は 1980年代後半の日本で広く認知されました。かつては会社の昇格試験の論文テーマになるほど重要視されていましたが 近年ではあまり耳にする機会が減ってしまい 残念に思います。
CSとは 商品やサービスを購入した顧客がどれだけ満足しているかを示す指標であり 企業の売上向上に欠かせない要素です。
顧客満足度が低ければ リピーターは生まれず 企業の成長は難しくなります。
「後工程はお客様」という考え方
顧客満足は 商品の購入者だけでなく 企業内部のプロセスにも適用される概念です。
私は以前 自動車メーカーのトヨタが採用している生産方式(TPS=Toyota Production System)を学ぶ機会がありました。
この生産方式の中には「後工程はお客様」という重要な考え方があります。
現代の生産活動は分業制が基本となっており 製品が完成するまでには いくつもの工程を経る必要があります。「後工程はお客様」という考え方は 自分が担当する工程の後ろにいる人を「顧客」として捉え 後工程がスムーズに進むように配慮することを意味します。
つまり 単に指示された作業をこなすのではなく 後工程にいる人が満足できるように仕事の質を向上させることが求められるのです。
仕事の成功の鍵は「本当のお客様」を見極めること
仕事が思うように進まないと感じたとき その原因の多くは あなたの働いた結果が「本当のお客様」のニーズに合致していないことにあります。
職場での「お客様」は単に上司だけではなく 業務の最終的な受け手である「最終工程の人」にも存在します。
この認識を誤ると どれだけ努力しても結果が評価されず 仕事がうまく進まない原因になってしまうのです。
もし業務で苦戦していると感じたならば 「顧客満足(CS)」の考え方を思い出してみてください。そして 次の2点を見極めることが重要です。
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自分の仕事の最終的なお客様は誰なのか? 上司ではなく 実際に成果を受け取る立場の人を意識する。
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自分が働いた結果は そのお客様が求めているものになっているか? 自分が提供したものがお客様にとって本当に価値があるのかを確認する。
この2つのポイントを正しく理解すれば あなたの仕事の成果は期待通りのものになり スムーズに進むようになるはずです。
客満足の視点を持つことで 仕事の質は向上し 職場での評価も自然と高まるでしょう。


学校では教えてくれない人間社会を生き抜くため基礎知識五つ目の「労働と会社組織の成立ち」についてお話してきました。
皆さんには労働の意味をよーく理解していただいて一方のお客様である上司ともう一方の本当のお客様の顧客満足を追求することによって仕事を進め 今よりもっと楽に より充実した人生を歩んでいけることを願っています。
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